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コラムColumn

つぶやき 角 昌晃

 2007年〜2010年のつぶやきです。

通信販売の羽毛布団

先日ある学会で名古屋の透析病院の理事長医師とお話をしました。そのなかで、いくら良い治療をしていても、近くに新しくて綺麗な、そして送迎サービスも行っているクリニックが出来ると、患者さんがそちらに移ってしまってがっかりするとおっしゃっていました。
その医師はオンラインHDFにも取り組んでおられ、建物は古くても治療には自信を持っておられるのでなおさら落胆されるのでしょう。

私が 「そんな建物がきれいとか、送迎サービスがあるからとかで移ってしまう患者さんは治療には興味の無いそれなりの患者さんじゃないですか?」 と聞くと、ニヤッと笑って 「その通りです!」 と答えられました。

そして私は冒頭の通販の羽毛布団を思い出すのでした。

別に布団でなくてもいいのですが、通販で羽毛の掛布団を買うとしましょう。定価は10万円にしますか。
するとなんと奥さん、今ならカバーをお付けします、枕も付けます、挙句の果てには敷布団もお付けしますとか、景気のいいことになっています。
いっぱいサービスがあってなんか得した気分ですね。

でも私には疑問が湧くのです。
その布団はほんとに10万円の価値があるの?と。
布団以外のサービスを全部なくしたら半額以下の値段じゃないの?と。
私なら本当に良い布団が欲しい時にその価値のない布団を買わされるのはごめんだなと思うのです。

先の話に戻りましょう。
20年前の、透析で利益のあった時代には送迎や食事やお茶などのサービス競争は華やかでしたが、今は透析の新規開業は倒産するといわれている時代です。
実際に公立病院では血液透析を廃止あるいは縮小する病院が後を絶ちません。
さらに保険改正で20年前の半分近くまで利益を減らされ、設備投資には億単位の資金が必要な現在にどこにサービスする余力があるのでしょう。

もう透析の話と羽毛布団の話は結びついたでしょうか。


布団は透析治療のたとえです。
10万円払ってその価値のない布団を買うのと、金額通りの価値の布団を買うのとどちらがいいでしょうか?
良い布団が欲しい方はサービスはいらないから本当に価値のある布団を希望されるでしょうが、そうでない方は得した気分で価値のない布団を買ってしまうのでしょうね。

布団ならまだいいのですが、果たして自分の命がかかっていてもサービスを取るのでしょうか。恐ろしいことです。

都市部の勉強熱心な患者さんは多少遠くても不便でも元気で長生きするためにオンラインHDFや長時間透析をしてくれるクリニックを自分で探して行くのだと聞いています。
本当の治療を、そして本気で治療を求める人にはやはりサービスなしの、偽りなしの10万円の羽毛布団、いや血液透析でしょう!

あなたの羽毛布団はおいくらくらいですか?考えてみるのも良いかもしれませんね。


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